税務調査に入られる際に、調査担当者を調べることが大事なのですが、わかりにくい職種として「広域担当」があります。
広域担当の調査官は、すべての税務署にいるわけではなく、中~大規模の税務署にのみ配置されており、その地域にある小さな税務署を複数管轄しています。
広域が担当する税務調査で代表的なものとして、複数の管轄税務署にまたがっている調査事案が挙げられます。例えば、関係会社が複数あって、管轄が相違するなどです。
税務調査は税務署の管轄ごとに割り当てられているため、複数の税務署にまたがる調査事案については、管轄するすべての地域に対して調査権限を有している広域担当が取り仕切りをして、各税務署が実際に動くということになります。
では、広域担当は上記のような調査事案だけを担当しているのかというとそうではなくて、単一の税務署が普通に行っている調査事案にも同行するケースもあります。
広域担当の調査官にも、調査件数のノルマはあるため、通常の税務調査にも同行しないとノルマ件数が達成できないので、上記のように同行するケースもあるのです。
広域担当は、管轄する複数の税務署を定期的に回っているので、これを税務署では「巡回」と呼んでいます。
巡回する理由は、広域担当が同行する・できる調査事案を見極めるためです。広域担当の職務は、管轄する税務署の「支援」であり、自身で調査選定をするというのはあまり無く、税務署から求められたら動く、ということが多いです。 だからと言って、支援の要請を待っているだけでは、税務署もなかなか要請をせず、調査件数のノルマが達成されないので、自分から動くのが巡回ということです。
「広域」と一言で言っても、いろんな職種・職格があり、「情報技術専門官」も広域担当の1つです。
情報技術専門官は通称「ジョーギ」と呼ばれており、IT系や社内インフラがシステムの場合に登場することが多いのですが、通常の(IT系に関係ない)税務調査に同行する場合もあります。
事前通知の際に、調査担当者を聞いてみると広域担当が含まれている、ということがあるわけですが、管轄する税務署が複数にまたがる、など特殊事情がない限り、税務署に対する「支援」のための同行だと考えていいので、そこまで警戒する必要はないでしょう。