税務調査では、担当の調査官や統括官の経歴を調べることで、交渉のやり方が変わります。
もちろん、担当の調査官が現在どの職格にいるのかを知ることも大事ですが、過去の経歴を知ることも大事です。そこを解説してみます。
1 調査官の職格・職歴を調べる
最初に職格です。
調査官は、通常3パターンにわかれます。
上席:ベテラン
調査官:上席手前
事務官:国税に入って3年未満
ここで注意すべき、職員録を見て「調査官」などのように官職が載っていないのは事務官(若手見習い中)ということです。
また、担当調査官が上席であっても、何ら偉いわけでも、決裁権を持っているわけでも ありませんので注意してください。
上記3パターンに当てはまらない調査官もいます。「情報技術専門官」や「国際情報官」などです。
次に、職歴で、調査官を調べる際に最もチェックすべきは、「数年分の職歴」です。
現在、税務署の法人課税部門にいて、過去も税務署が違うだけで、ずっと法人経験者であれば何も気を付けるべき点がありません。
一方で、そうでない経歴を持っている調査官には注意です。
交流(他の部門出身者)には要注意です。
国税内は交流といって、3年程度、他部門に異動し、経験を積ませる習慣があります。
担当の税法すらまったくわかっていないケースが多いので、税法に反論するのではなく、書籍などで反論した方がわかりやすくて効果的です。
転課は交流とは違い、完全に部門を移籍することになります。
交流のように担当税目を全く知らないことはないかと思いますが、経験が浅い場合は交流と同じ対応をした方がいい場合もあります。
総務出身は元は法人課税などで調査していても、総務経験が長いと税法を忘れているものです。細かい指摘事項ではなく、期ズレなどベースになるところだけチェックしておきましょう。
内部部門(1部門出身)は同じ課税部門であっても、内部部門にいると、申告書・申請書などの処理ばかりしていますので、KSKには詳しいものの、調査には疎くなっているケースが多いです。細かいミスばかり突いてくる調査官が多いです。
国税局出身者は特に資料調査課(いわゆるリョウチョウ)は無予告調査を含めて、質問検査を逸脱した調査を行うケースが多くあります。
また修正申告しないなら更正を打とうとする調査官も多いので、駆け引きが非常に重要になります。要注意です。