「特官」とはあくまでも略称で、正式な名称は「特別国税調査官」です。
ある程度の規模があるが、(国税局ではなく)税務署管轄となっている調査対象を管轄しています。特官管轄となる基準は税務署(の規模)ごとに異なっていますので、一概には言えません。
特官は自身で部門を有しており、いわゆる「特官部門」には数名の調査官が所属し、この調査官は通称「付(づき)」と呼ばれています(特官付きの調査官、という意味です)。
その特官には2種類あって、「厚紙(あつがみ)」と「薄紙(うすがみ)」といいます。
「厚紙特官」は国税職員の名簿でいうと、副署長のすぐ下に名前がきます。職格でいうと副署長と同列です。いわゆる偉い人です。
「薄紙特官」は国税職員の名簿でいうと、法人課税部門などの部門の一番上に名前がきます。職格でいえば、「厚紙特官」には劣ります。
一般部門の管轄であった調査が、特官の管轄に変更になった、もしくは薄紙特官の管轄であった調査が、今回から厚紙特官の管轄になったような場合は、単純に調査対象者の規模が大きくなっただけなので、あまり気にしないくてもいいと思います。
特官は、自身も調査の現場に行きますし、調査をまとめる段階においては、一般部門の統括官と同じく、自身が決裁権をもって処理することになります。
ただ、特官だからといって、すべてにおいて決裁権を持っているわけではなく、増差所得が多額に見込まれるような調査事案であったり、重加算税や長期仕掛事案の場合は、副署長や署長に決裁が必要なケースもあります。
このようなケースもありますが、ほとんどの調査事案では特官が決裁できるはずなので、一般部門の調査とは違って、調査の交渉相手は特官になることがほとんどでしょう。
税務署の調査事案では、一般部門と特官部門を分けて考える必要があり、所得規模が大きくなれば、特官部門が担当する傾向にあります。